【 アムルーズの泉 】

シャンボール・ミュジニー村の斜面に広がる1級畑アムルーズ。 フランス語で「恋人たち」を意味するこの畑はその昔お花畑が広がっていた場所。花摘みにきた恋多き乙女たちが斜面下から湧き出る泉を眺めながら愛を語り合っていた事に由来します。 今はブドウ畑で埋め尽くされているアムルーズの斜面でも、森を抜けた泉の周辺には未だ手付かずの自然が残っていました。

緑と清流が生み出す澄んだ空気に覆われた空間。 歩く度に踏みしめた草花と湿った土の香りが混じり合い、あたりを漂う甘く清涼感に満ちた芳しい香り。 咲き乱れる野生の花々を目前に、小鳥のさえずりに合わせて舞い続ける蝶。 やはり現場でこそ体感できる自然の美がそこにはあり、この場面をどう拾いきれるかで人生を楽しむ幅は広がってくるのだと思います。

同じ景色、匂い、音、味、言葉を前にしても感じ方は人それぞれ。 日常の中にある何気ない出来事を当たり前に流す人、深く感じ入る人。 どちらにも同じだけチャンスは与えられているのに、世の中の色んな価値を拾えず不感症で居続けるのはあまりに寂しい。 磨いた感性はお金では換算できないけれど、それがつまり心の富を蓄えるという事ではないでしょうか。 感受性こそが富であり、それをどれだけ蓄えていけるかで人生の豊かさは大きく変わってくるものだと思うから。

価値あるモノは正しく理解して上手に使いこなせる大人でありたいですね。



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