【佐賀県有田 研修旅】

佐賀の有田に行ってきました。
目的はもちろん当店の最大のパートナーである「カマチ陶鋪」に出向き、現場の歴史や情熱を体感して理解を深める研修旅。 日頃から仲良くさせて頂いている蒲地社長に超多忙なスケジュールの中、長時間にわたり隅々まで懇切丁寧にアテンドして頂きました。
伝統産業の裏には必ず歴史があり、先人たちの苦労があって成り立つもの。有田焼やそれにまつわる歴史等は想像以上に奥深く、必死に時代を生きてきた先人たちの有難さは心に染みるものでした。
一つ一つの作品を生み出す情熱と苦悩は並大抵のものではなく、それこそ命がけの毎日から生み出されてきたものだと思います。時には非人道的な扱いを受け、半強制的に人生を捧げさせられた方たちが傑作を生み出してきた史実などは何とも皮肉な話です。 本気で生きていなくても簡単に許容される現代社会からは想像もつかない厳しい世界がそこにはあったのでしょう。
そんな人生の全てを捧げてようやく辿り着く作品や、先人たちが命懸けで紡いできた作品を、現代の我々はお金と言う道具を使えば堪能させて頂ける環境は本当にありがたい事だなと、感謝すべき事だと思うのです。お金を稼ぐ以上に物を見る・感じる力を養わずに本物と対峙する事がどれほど非礼なことであるか、つくづく思い知らされます。
どんな時代でも本物と偽物が交錯して、多くは容易で楽な方向へと進みがちな時代の中でも、強く信念と使命を持ち続ける僅かな有志たちの手によって守り引き継がれてきたのが今日の有田焼。その有志の現代における筆頭格となっているのが「カマチ陶舗」なのだと思います。
今や日本はおろか世界中で評価されるまでに有名になったカマチ陶鋪ですが、今日までの道のりは我々の想像を絶するほど苦難に満ちたものであった事は容易に想像できました。
先人に敬意を払い、その長く続く伝統を十分に理解した上で、あえて常識や慣例を打ち破り、時には笑いものになりながら、それでも信念を貫き、形にしてきたことがどれほど辛く苦しかった事か。
人一倍に感性を磨きあげ、人一倍に努力して、人一倍に忍耐し、人一倍に己を厳しく律する。情熱を絶やさずそれこそ人生をかけ命懸けで向き合ってこなければ決してなし得ない、本当に難しい事なのだと思います。
当店がずっとこの器を使い続けたいと惹かれる理由は物質的な事だけでなく、その作品の向こう側にある情熱や本気度、暖かさを感じるからに他なりません。
「こういう作品がもっと評価されて欲しい」「こういう本物を使いこなせる店でありたい」「より多くの方に正しくお伝えしたい」 そう思うのです。

【一流を扱うモノには一流の責任が付きまとう】

最近では若手料理人の憧れにもなっているカマチ陶舗ですが、容易くそのブランドに飛びつくのではなく、まずはその価値・重みを十分に理解できる感性や心を先に整えてから向き合って欲しいと切に願うばかりです。 それだけの価値のあるものですから。
その時代その時代には革新的な最先端があり、それが後世にわたり伝統となり現代に引き継がれている。今最先端に立っているカマチ陶舗もいずれ後世では革新的な伝統の一部として語り継がれる、そんな時代の牽引役を担っているのだと感じた旅でした。










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