普段は個性を決めつけがちなブラインド能力よりも、本質を見抜くテイスティング能力を重視しているので最近はあまりブラインドはしていませんでした。 しかしながら先日久しぶりに外出先にてブラインドをする機会があり、面白い経験ができたのでご報告を。 アイテムは1978年の水平、マルゴー・ムートン・オーブリオン。
飲む前での私の1978年の各印象は以下の通り。
マルゴー=力強く長熟。果実の厚みを感じて丸みを帯びたもの。
ムートン=やや弱い年でバランスは良いが線が細いので今だと果実味よりも杉の木の香りが立っている。
オーブリオン=軽い飲み口の薄旨系。タバコや枯葉に皮っぽい獣臭。
早速テイスティングしてみました。
①タンニンは滑らかだが、やや果実味が弱く苦みも立ちバランスを崩し始めている。
②カシスの香りと滑らかなタンニン。果実味と樽香のバランスがよく旨味も残る。
③ブルゴーニュかのようなタッチと葉巻・なめし皮の香り。
以上から私の答えは以下の通りでした。
①ムートン
②マルゴー
③オーブリオン
ここで正解発表。
①マルゴー
②ムートン
③オーブリオン
恥ずかしながら私、マルゴーとムートンを間違えてしまいました。 しかも迷いなく出した答えで(笑)
ただ、プライベートの遊びとはいえ何度か経験のある1978年の5大シャトーのブラインドで外したのは今回が初めてだったので、少し気になりその後自分なりに分析してみました。
結果、それぞれのワインの状態に差があることに気づきました。
マルゴーは最初澱かと思っていた濁りが澱ではなく、色調が透明感に欠けくすんだ枯葉色。コルクも表面までワインが染みておりスクリューだけでは抜けないほど柔い状態。 対してムートンは色調も良くディスクにややレンガ色を帯びた程度で未だ若々しい。コルクは折れていたがまだ弾力もあり健全。
そして気づきました。
そう、このボトルバリエーションが自分の基準を狂わせてしまったのだと。 一番力強いはずのマルゴーが軽く劣化しており果実味が抜け先細りな印象に。 一番弱々しいはずのムートンがすこぶる健全で寿命を保っていた事。 一つ一つ向き合わずそれぞれの特徴を見る事よりも,両者を比べて印象に近い順番で並べてしまったんだなぁと。
半端に知識と経験があるがゆえに陥ったミス、軽率でした。
普段飲むワインは全て自分が用意するものなので、今回のような状態のバラつきによるブラインドはとても印象的で貴重な経験となりました。 しばらく接客用のネタに使わせて頂こうかな、と(笑)
状態の違いによる水平ブラインド、オススメですよ。